JR東日本盛岡支社は30日、岩泉線(茂市~岩泉間)の復旧を断念すると発表した。岩泉線は廃線となる見通し。
岩泉線は、2010年7月に発生した土砂崩壊による列車脱線事故で、現在も全線が運休している。事故後に設置された検討委員会は、列車の安全確保に約130億円、復旧には長期にわたる工事が必要と、昨年末に結論づけた。岩泉線の1日の利用人数(1キロあたりの通過人員)は、2009年度で46人。1987年度当時の人数と比べると約4分の1にまで減っており、2008年度の「鉄道統計年報」では、JR以外も含めた全国の路線で最も低くなっていた。同社は、復旧に伴う費用や期間、利用者の減少から、復旧の断念を決定した。
岩泉線は、山田線の茂市から分岐し、龍泉洞で有名な岩泉に至る路線。いわゆる盲腸線で、営業キロは、38.4キロ。1942年開業で、全線開通は1972年。自動車の普及や沿線人口の減少から1982年に廃止が検討されたこともあるが、バス転換が困難といった理由で廃止は保留され、脱線事故があるまでは1日3往復(茂市~岩泉間)が運行されていた。
同社は、地元の交通手段について「当社が責任をもって確保する」としており、廃線後もバスの運行を継続する方針。