信楽高原鐵道は4月1日に、地元の滋賀県甲賀市から無償で線路を借りて列車を運転する、公有民営の「上下分離」方式の経営に移行する。
新年度からは、鉄道施設や車両などは甲賀市が所有し、列車の運行を信楽高原鐵道が担う。インフラ面の負担をなくし、信楽高原鐵道の経営改善を進めるのがねらいで、甲賀市は新たに第3種鉄道事業者に、信楽高原鐵道は現在の第1種から第2種鉄道事業者に変更となる。運賃の変更はしない。
今回の公有民営化は、2月19日に同社と滋賀県、甲賀市が、地域公共交通活性化法に基づく「鉄道事業再構築実施計画」を国土交通省に申請。今月4日に認定されたもの。期間は2013年4月1日から10年間。甲賀市は滋賀県の支援を受けて鉄道用地や施設を取得・保有し、国からの補助で設備投資も行う。鉄道事業再構築実施計画での公有民営化は、鳥取県の若桜鉄道に続き全国で2例目となる。
信楽高原鐵道信楽線は、滋賀県甲賀市の貴生川~信楽間14.7キロを結ぶ非電化単線。国鉄信楽線として1933年に開業した。モータリゼーションなどの影響で慢性的な赤字を抱え、1981年には国鉄再建法に基づく特定地方交通線に指定。沿線自治体などは同線の廃止を避けるため、第3セクター方式での経営継承を決定し、1987年7月に信楽高原鐵道として再出発した。その後、1991年5月に発生した列車衝突事故や沿線人口の減少などにより、厳しい経営が続いていた。2011年度の年間輸送人員は約49万人、経常損益はマイナス約9000万円だった。