EOS 60Dの最大の特長は、EOSシリーズでは初の搭載となる『バリアングル液晶』だ。ビデオカメラのように液晶が本体から開いて最大180度回転させることができる。このため液晶は上下の好きな角度に無段階で設定することが可能だ。これを活用し、液晶を見ながら撮影する『ライブビュー撮影』をすれば、普通の一眼レフカメラでは撮れない位置にカメラを据えることが可能だ。
例えば、イベントなどの人混みで、撮りたい列車が人垣に阻まれて撮れないという場合でも、カメラを掲げて下から液晶を見ながら撮ることができる。また、ホームから停車している列車を撮影する場合には、低いカメラ位置でダイナミックな構図を狙うケースがあるが、バリアングル液晶を活用して上から液晶を見ながら撮影すれば、より低い位置からの撮影も可能。さらに乗り鉄であれば、レンズと一緒に液晶も向けられるので、自分が訪れた駅やお気に入りの車輌と自分を撮る"自分撮り"ができる。
このように液晶の角度が変えられるのを活用し、カメラを様々な位置に据えることで、撮影できる範囲がグンと広がる。まさに撮りたいシチュエーションが多彩な鉄道写真向けのカメラと言っても過言ではないだろう。
人垣に阻まれて、ファインダー撮影ではうまくカメラが向けられない場合でも、EOS 60Dならば、カメラを掲げて液晶を見ながらの撮影で人混みに影響なく列車を狙うことができる。
バリアングル液晶を活用して、カメラを掲げながら撮った作例。人混みで撮りたい列車が上手く撮れなかったという経験のある人にはぜひ使って欲しい機能だ。
液晶を自分に向けて撮影すれば、お気に入りの列車や、訪れた駅名と一緒に記念写真が撮れる"自分撮り"ができる。自分の訪れた駅の記録をつけている鉄道ファンにも使える機能だ。
バリアングル液晶を使えば、普通では撮影できないような、地面すれすれの位置からでも、液晶を見ながら構図を決めることができる。
鉄道車輌が好きで写真を撮るなら、やはり車輌の細部までキッチリと写真に残したいものだ。EOS 60Dならば、業界トップクラスの約1800万画素という高画素により、車輌の細部までしっかりと撮ることができる。実際に使ってみると、ファインダー越しに撮影したとき、肉眼で見えなかったような細かい部分もしっかり記録されており、写真に撮ってみて初めて気づく車輌のマーキングなどもあるほどだ。たとえば、最近の新系列電車では、前面に「EAST JAPAN ・・・」など細かい文字がマーキングされることが多いが、EOS 60Dの約1800万画素はこのマーキングもしっかり記録されている。
また、鉄道写真に限らないが、写真は低いISO感度で撮影した方がより自然な階調でディテールを精細に再現してくれる。EOS 60Dであれば、ISO感度は100から設定できるため、ISO200からしか設定できない他メーカーの製品に比べ、より車輌を高精細に撮ることができる。さらに、編成写真であれば絞りをコントロールすることで編成の先頭から最後尾までボケを少なくし、より鮮明に写すこともできる。EOS 60Dは約96%の視野率を誇る光学ファインダーを搭載しており、コンパクトデジタルカメラやミラーレスのような液晶ファインダーと比べると構図の狙いやすさは雲泥の差だ。狙った場所に編成を収めるためには、ファインダーで見える像の動きが実被写体の動きと同一でないと、狙った構図でシャッターを切ったはずが、車両の一部が切れてしまうなど、失敗写真を作ることになる。
約1800万画素、ISO感度100で撮影した作例。運転台前面のマーキングはもちろん、編成の最後尾の方までキッチリと写っているのがわかる。
運転台前面の社名マーキング。全体の大きさと比べると細かい文字だがクッキリとシャープに撮れている。