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旧型を置き換えた新型車両が「旧型で」置き換え 北海道であった「残念な代替」の理由とは

2024年11月4日(祝) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

室蘭本線の拠点駅の一つである苫小牧駅では、ローカル線の日高本線が分岐しています。今でこそ苫小牧~鵡川間30.5キロのミニ本線となっている日高本線ですが、かつては苫小牧~様似間146.5キロを結び、日高地域を縦断する路線でした。

日高本線用に改造投入されたキハ40形350番台。キハ130形を置き換えるために投入されました
日高本線用に改造投入されたキハ40形350番台。キハ130形を置き換えるために投入されました

その日高本線は、JR発足初期の時点では、国鉄から引き継いだキハ40形が使用されていました。JR北海道では1988年、キハ40形の置き換えのため、同線に新造車のキハ130形を導入。第三セクター路線でよく導入されていた、コストカットを実現した気動車「NDC」シリーズの車両で、一度はキハ40形を全て置き換えた……はずでした。しかしキハ130形は、2000年に定期運転を終了。その置き換え用に投入されたのは、一度はキハ130形が置き換えたはずの、キハ40形でした。

路線状況に合った車両を導入する、という点では最適と思われたキハ130形でしたが、そのコストカット策が、短命な活躍の一因となりました。軽量車体で設計されたキハ130形は、海沿いを走る日高本線には不向きだったようで、末期は塩害が深刻化していたといいます。また、置き換えられたキハ40形は、側面窓を二重にするなどの酷寒冷地仕様車となっていましたが、キハ130形では、窓は本州向けと同じ二段窓で、ドア付近と座席付近を遮るデッキもなし。酷寒冷地向けといえる仕様ではなく、その点でも不興を買っていたようです。

さらに、キハ130形が2度遭遇した踏切事故も、懸念を抱かせる要因の一つでした。最初に発生した事故では運転士が重傷を負ってしまい、二度目の事故では車両の損傷がひどく、被災車は廃車となっています。

2006年廃止の北海道ちほく高原鉄道で使われていた車両、CR75形。キハ130形の同型車でした(画像:写真AC)
2006年廃止の北海道ちほく高原鉄道で使われていた車両、CR75形。キハ130形の同型車でした(画像:写真AC)

結果的に、置き換えたはずの車両に置き換えられたキハ130形でしたが、再度投入されたキハ40形は、エンジンを交換してパワーアップし、塗装も日高本線用に変更した350番台でした。このグループは、かつては日高本線専用車として運用されていましたが、2015年に同線が被災し不通(後に一部が再開)となった後は、苫小牧エリアを中心に他路線でも活躍。そして2021年に営業運転を終了しました。

2024年現在の日高本線の列車。一般仕様のキハ40形のほか、画像のような観光列車仕様の「北海道の恵みシリーズ」が運用に入ることもあります
2024年現在の日高本線の列車。一般仕様のキハ40形のほか、画像のような観光列車仕様の「北海道の恵みシリーズ」が運用に入ることもあります

なお、JR北海道ではキハ130形のみで終わったNDCでしたが、JR北海道から池北線を引き継いだ北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線でも、キハ130形ベースのNDCが導入されていました。こちらは、1989年の路線転換から2006年の路線廃止まで現役で活躍。現在も、池北線の廃線跡を活用したふるさと銀河線りくべつ鉄道に6両が保存されており、車両の運転を体験することも可能となっています。

 

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