9月9日~15日の先週一週間では、JR貨物から始まる輪軸の検査データ偽装が、各社にも大きな影響を与える問題となりました。続く今週一週間(9月16日~22日)でも、輪軸問題が続く中、東北新幹線で「はやぶさ」「こまち」の連結器が走行中に外れるというトラブルもありました。
安全に関する分野で、「ハインリッヒの法則」というものがあります。1件の大きな事故の裏には、29件の中規模なトラブルがあり、さらにその裏には300件の小さなトラブルがある、というものです。現時点で死者が発生するような大事故とはなっていませんが、現在のまま中規模なトラブルが多発する状況が続けば、いつしか大惨事に発展するおそれもあります。
もちろん、鉄道各社では「安全は輸送業務の最大の使命である」などの安全に関する綱領・規範を定めており、何よりも安全が第一に優先することは、社員全員が共有しているはずです。誰も率先して大事故を起こしたいと考えているはずもなく、不可抗力による大きなトラブルがたまたま連続して起きていることもあるかもしれません。とはいえ、鉄道不信という認識を部外者が抱いても仕方がない現状。各社がその信頼を回復できることを、筆者は願っています。
さて、一週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介するこの連載。今回は、海外のニュースを1本取り上げます。
台湾の国鉄に相当する「台湾鉄路」では、18日に新型機関車「E500型」の営業運転が始まりました。この機関車は、日本の東芝が製造した車両で、台湾では初めての導入となる日本製の大型電気機関車です。
E500型が使われるのは、特急列車に相当する「自強号」。これまでは、韓国製の客車の両端に南アフリカ製の機関車を連結する「プッシュプル」スタイルだったのですが、機関車の老朽化が進んでいたため、今回置き換えが始まった形となります。なお、現地の報道においては、急行列車に相当する「キョ光号」(きょこうごう、キョは草かんむりに呂)も、E500型のけん引となるとされています。