駅で電車に乗り込む時に聞こえてくる発車メロディ。普段何気なく聞いているこの音楽には、どのような歴史があったのでしょうか。
一昔前は、電車の発車を知らせる音と言えば、発車ベルが一般的でした。しかしながら、その音が騒音になっているとか、あるいは駆け込み乗車を誘発しているなどの問題がありました。そこでJR東日本はヤマハに依頼し、ピアノやハープを使用した発車メロディを開発、新宿駅などに導入しました。1989年のことです。これが好評を博し、首都圏のJR路線のみならず、全国各地の路線へと駅メロディの導入が広まっていきました。
当初は新宿駅のようにオリジナル音楽が使用されていた発車メロディですが、現在では導入駅やその周辺にちなんだ「ご当地メロディ」と呼ばれるものも数多く導入されています。
たとえば、日本初の鉄道が開業した区間の駅である品川駅には「鉄道唱歌」が、松竹の蒲田撮影所があった蒲田駅では「蒲田行進曲」が使用されています。また、東京ディズニーリゾートの最寄駅である舞浜駅では、ディズニーの「It's a small world」などが、藤子・F・不二雄ミュージアムの最寄駅の登戸駅では「ドラえもんのうた」が使用されるなど、子どもが喜びそうなメロディも数多く導入されています。
各地の駅を彩る発車メロディ。この音楽を聞くために電車で小旅行してみるのも、面白いかもしれません。