日本初の鉄道は、1872年10月14日(当時使用していた旧暦では9月12日)に、新橋~横浜間で本開業しました。この区間が初の建設区間に選ばれたのは、日本の首府となった東京と、開港地であり国外とも繋がる拠点である横浜を結ぶためだったとされています。
そんな日本初の開業区間の駅となった横浜駅ですが、現在のJR線や東急線、京急線、相鉄線などが乗り入れる横浜駅とは別物です。実は、現在の横浜駅は3代目。1872年に開業した横浜駅は、別の場所にありました。
JR線におけるみなとみらいの玄関口となっている桜木町駅ですが、1872年当時はこの駅が横浜駅を名乗っていました。横浜駅が終点に選ばれたのは、先述したように開港地であるから。そのため、終点の駅は港に近いこの場所が選ばれたのでした。
その後、線路が西へ向かって伸びると、列車は横浜駅でスイッチバックするようになります。これを解消するために短絡線が建設され、その上に別の駅(平沼駅、後に廃止)も作られたのですが、最終的には横浜駅自体を移転させることに。1915年に2代目横浜駅が開業し、初代横浜駅は桜木町駅と改称されました。
2代目横浜駅は、現在の駅よりも桜木町側、横浜市営地下鉄の高島町駅付近にありました。その2代目駅は、1923年の関東大震災で被災。これが契機となり、横浜駅はふたたび移転することになりました。先述した短絡線は、2代目横浜駅の開業後に廃止(ただし貨物用引き込み線として活用)されていたのですが、これを復活し、新たな横浜駅が設置されました。これが、1928年に開業した、現在の3代目横浜駅です。
桜木町駅へ名を変えた初代横浜駅は、東海道本線の支線の終点となった後、1964年の根岸線桜木町~磯子間開業とともに、根岸線の駅に編入されています。一方、2代目横浜駅については、3代目横浜駅の開業とともに廃止。現在は土台のみが保存されています。