一週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介するこの連載。今回はまず、「声」のニュースを取り上げましょう。
クリムゾンテクノロジーは、10月14日の「鉄道の日」にあわせ、Voidol RVCモード用ボイスモデル「元祖“乗り鉄”の神・声のマイスター 堺正幸」を同日に発売しました。
「Voidol」シリーズは、人の声をリアルタイムでキャラクターなどの声に変換できる製品。自分の声などを、提供されているさまざまなモデルの声に変更することが可能で、たとえば「VOCALOID」シリーズ発祥の「結月ゆかり」や「紲星あかり」など、実在の人物では由美かおるさんのモデルが、もちろん本人公認で提供されています。
今回発売されたモデルに起用された堺正幸さんは、元フジテレビアナウンサーですが、JR東日本の新幹線・特急の自動放送を担当していることでも知られています。本製品を使えば、だれでも新幹線や特急列車の車内放送を再現できるかもしれません。
もう1本ご紹介するのは、災害不通が続いている奥羽本線の話題。JR東日本東北本部は18日、同線の再開に際し、復旧区間を非電化区間とすると発表しました。
奥羽本線の新庄~院内間では、2024年7月の豪雨により、土砂流入や盛土のり面崩壊といった被害を受け、今も不通状態が続いています。同社では、2025年のゴールデンウィーク頃に再開を目指すとし、再開時には架線を撤去し、電気式気動車のGV-E400系(一部はキハ110系)での運用とすると説明しています。
JR東日本では、電化路線の一部を非電化にする方針を掲げています。たとえば磐越西線の会津若松~喜多方間は、2021年度で電車の定期乗り入れが終了しており、その後架線の撤去が進められています。電化路線は、変電所などの設備コストが必要で、電車特急や電気機関車けん引の貨物列車が走らない路線であれば、気動車に置き換えた方が低コストになる、という考えのようです。
今回被災した奥羽本線のうち、新庄~大曲間は、現在はローカル列車しか走らない区間。であれば、電化設備を撤去し、気動車に置き換えてしまっても問題ありません。同社では、「災害を受けてもより早期復旧が可能となる」とも説明しており、電化設備という地上設備を減らすことで、仮に再度被災した場合でも、復旧作業箇所を少なくできることを狙っているようです。また、今回は復旧区間のみに言及されていましたが、奥羽本線の院内~大曲間でも、今後は同様に「架線レス化」が検討されるのかもしれません。