JRの新幹線や特急列車などに設定されている指定席は、文字通り、座席を事前に指定(予約)できる車両。自由席との違いは、(時期などで異なりますが)530円の指定席料金相当を支払って座席を確保できるか否か、しかないはず……なのですが、一部の列車では、指定席と自由席との間で、座席に差がつけられていることがあります。
新幹線では、山陽新幹線の「こだま」で使われている500系・700系と、山陽・九州新幹線の「みずほ」「さくら」などで走るN700系(8両編成)、西九州新幹線「かもめ」用のN700Sで、指定席と自由席に差がつけられています。いずれも、主に自由席として使用する車両は、一般的な新幹線普通車と同じ3+2列配置。ですが、主に指定席として使用する車両は、新幹線グリーン車と同じ2+2列配置となっています。
在来線でも同様に差がつけられていることが。JR四国の特急「しおかぜ」「いしづち」などで使われている8000系では、指定席と自由席で、別のシートが設置されています。8000系はこれまで、2004年度以降、2023年度以降の2回、リニューアルを実施。指定席のシートはリニューアルのたびに新品へと交換されていますが、自由席のシートは、1回目のリニューアルでは交換されませんでした。2回目のリニューアルでは、自由席となる4・5号車は座席が交換(1回目のリニューアルで指定席に採用され、2回目リニューアルで取り外された座席の流用)されましたが、同じく自由席となる6・7号車の座席は交換されていません。なお、シートの見た目に差はあるものの、近年必須の座席コンセントは、指定席、自由席(ただし壁側のみ)のどちらにも設置されています。
指定席車の全車両ではなく、号車限定で差がつけられている車両もあります。たとえば、JR九州の特急「ゆふ」は、普段は2両編成で運転されていますが、繁忙期などには3両編成で走ることがあります。この場合に連結される中間車は、扱いは普通車指定席ですが、もとは半室がグリーン車だったものを転用したもので、この部分の座席はグリーン車時代そのまま。もう半室も、元グリーン車ほどではありませんが、他の普通車よりも座席間隔が広くなっており、非常に乗りトクな車両です。
JR北海道では、特急「カムイ」などで走る789系1000番台と、「すずらん」で走る785系で、指定席車のうち1両が他の普通車よりも上質な「uシート」となっています。また、特急「とかち」などで使われているキハ261系1000番台でも、一部車両でuシートとほぼ同じ座席を設置しています。もともと、これらの列車では今より指定席が少なく、uシートおよびキハ261系の上質なシートは、指定席車用として自由席よりも上質なものが導入されていました。2024年3月のダイヤ改正では、各列車の指定席が増え、特に「おおぞら」「とかち」は全車指定席となったのですが、座席はそのままのようで、指定席内でも一部で差がついた状態となっています。