複数の路線や系統を持つ路面電車では、行先によって途中の停留場で乗り換える必要が生じます。近年ではICカードの利用時に、所定の手順に従えば精算無用でスムーズに乗り換えられる設定が増えていますが、主に現金払いの場合は、乗換用や乗継用の紙券を受け取ってからといった手間を要するため、初めて利用する際はとまどうこともあるでしょう。
そうした乗り換えや乗り継ぎを前提として、「のりかえ券」などを発行するケースは今も多く、同じ停留場での降り乗りに限らず、隣接する停留場の相互間で有効とする例もいくつか見られます。それらの組合せの代表例として挙げられるのは、広島電鉄の紙屋町と本通、とさでん交通のはりまや橋とデンテツターミナルビル前の2例。富山地方鉄道では、環状線から南富山駅前方面への乗り換えに限り、中町(西町北)での下車、西町での乗車が可能となっています。
前述の例のうち、紙屋町停留場については、国土交通省の「鉄道要覧」などでは1つの停留場として扱われているものの、実際は紙屋町交差点をはさんで「紙屋町東」と「紙屋町西」の2つの停留場が存在するという点が特徴的。2号線、6号線の電車は両停留場にそれぞれ停車するため、見方によっては停留場1つに対し、乗降のチャンスが2回あることになります。
紙屋町と同様に、鉄道要覧では1つ、実際は2つという停留場は鹿児島市電にもあります。その組合せは、「郡元」と「郡元(南側)」。鹿児島駅前方面から、騎射場経由の谷山行き電車に乗ると、この順番で2つの停留場に停車することになるため、郡元でうっかり降り損なってもすぐに降車チャンスが来るのがポイントです。郡元では鹿児島中央駅前方面への乗り換えができますが、注意を要するのは隣接停留場との相互間の扱いがない点。郡元(南側)で下車した場合は、通しでの乗り換えができる設定がないため、改めて運賃を払う必要があるのです。
似たようなタイプの停留場でありながらも、運用が異なるのが紙屋町と郡元。各社公式の路線図には、それぞれの停留場が明記されているので、乗り換えの際などはしっかりチェックされることをおすすめします。