現在の日本の鉄道における貨物輸送では、コンテナに貨物を載せる方式が一般的です。この鉄道用コンテナは、どのような種類があるのでしょうか。
まず「コンテナ」と言われて思い浮かべるのが「有蓋(ゆうがい)コンテナ」。「汎用コンテナ」とも呼ばれる一般的な箱型のものです。現在主流の「19D」や「20D」という形式のコンテナは、両側面に両開きの扉を有し、ここから中に荷物を出し入れすることができます。長さもさまざまで、現在主流のコンテナ貨車であるコキ100系には、19Dや20Dなどの12フィート(約3700mm)コンテナは5個、20フィート(約6000mm)コンテナは3個、30・31フィート(約9400mm)コンテナは2個積載できます。
有蓋コンテナの仲間には、生鮮品輸送を考慮して換気機能を加えた「通風コンテナ」や、断熱材を加えた「冷蔵コンテナ」、発電機を搭載して温度を一定に保つ「冷凍コンテナ」もあります。
有蓋コンテナと明らかに形が異なるのが「タンクコンテナ」。化成品などの液体物や、LNGガスのような気体を運ぶためのものです。面白いところでは、調味料や水飴など、食料品の運搬に使われたコンテナもあります。かつては長さ12フィートサイズが主流でしたが、近年は国際規格の20フィートサイズも普及しています。
また、さまざまな形のバリエーションが見られるのが「無蓋コンテナ」。鋼材や機械、土砂などの、有蓋コンテナでは運搬が難しいものに対応しています。また、粒状の貨物に対応するコンテナとしては、「ホッパコンテナ」もあります。
2021年1月の時点で、JR貨物では有蓋コンテナ・通風コンテナなどを約6万2000個保有。さらに、JR貨物の関連会社やその他の物流会社が保有する「私有コンテナ」もあります。この私有コンテナは、基本的にはデザインは自由。ワインレッドに塗装されたJR貨物のコンテナ(一部を除く)に加え、日本オイルターミナルやヤマトホールディングス、ランテックなど、さまざまなデザインのコンテナが、貨物列車を彩っています。