阪急電鉄は12月5日、2025年2月22日に神戸線・宝塚線系統のダイヤ改正を実施すると発表しました。新種別の設定や運転形態の変更など、トピックは複数ありますが、その中でも少々残念なのが、神戸線を10両編成で走る列車の消滅。10両編成は、すでに宝塚線と京都線から消滅しており、神戸線が最後の牙城となっていましたが、それも見納めになります。
阪急の10両編成の歴史は、1982年、宝塚線の列車に設定されたことから始まります。1985年、神戸線と京都線もこれに加わり、3つある阪急のすべての本線で10両編成の列車が走るようになりました。
10両編成が走る時間帯は、神戸三宮、西宮北口、川西能勢口など一部の駅で、車両の増結作業が実施されていた時期もありました。なお、10両編成で走る車両は、基本的に一般的なロングシート車で、京都線の特急車両はその対象外でした。ただし、9300系は、2003年のデビュー後しばらく、10両編成で走っていた実績があります。また、10両編成は基本的に8両編成に2両を連結するかたちで仕立てられていますが、神戸線では一時期、6両+4両の組成も見られました。
神戸線では1995年に、座席収納機能を備えた増結用車両の8200系を投入。車内の座席をたたみ、オール立席で10両編成の先頭に立つ姿は、神戸線のラッシュがいかに厳しいものであるかを物語っていました。
しかし、近年は全線で10両編成の運用が縮小傾向にあり、前述のとおり、2025年2月のダイヤ改正で10両編成は完全消滅。ラッシュ時の大量輸送を支えた堂々の長編成の歴史は、43年ほどで幕を降ろすことになります。
ところで阪急には、「10両編成要員」とも呼べる増結用車両がありますが、改正後はそれが不要となります。これらの車両の今後について阪急電鉄の広報に聞いたところ、「その処遇は未定」との回答でした。過去には2両+2両の4両編成で支線区の運用に回された車両もいますが、増結用の任を解かれたこれらの車両がどうなるのか、要注目です。
最後に余談として、神戸線の女性専用車両について少しふれます。同線では現在、神戸三宮駅を始発とする10両編成の通勤特急に女性専用車両がありますが、これは改正後も、8両編成の神戸・新開地方の1両目に、引き続き設定されます。改正により、通勤特急は新開地駅または高速神戸駅発となりますが、「女性専用車両は始発の新開地駅、高速神戸駅からの設定になる」と、広報担当者は説明します。これにより、神戸高速の東西線区間に、初めて女性専用車両が設定されることになります。
なお、新開地駅では、女性専用車両の位置と神戸電鉄線との乗り換え通路の位置が、おおむね重なります。改正後、神戸電鉄線から阪急線へ乗り換える男性客は、間違えて女性専用車両に乗らないよう、注意が必要です。