知多半島の中央部に位置し、知多湾の奥にある愛知県半田市。武豊線の半田駅は、同市の中心地にあるJRの駅です。同駅の高架化を含め、駅付近では連続立体交差事業に伴う工事が進行中。駅舎は2021年6月に仮駅舎の供用が始まり、駅周辺も高架線の橋脚が並び始めています。
駅を出て西の方向に行くと、半田運河、黒板塀が特徴的な醸造関係の蔵などの観光スポットが点在していますが、鉄道ファンであれば必見の場所が駅前にはあります。列車からも垣間見えるC11形265号機、その近くにある半田市鉄道資料館です。
C11形265号機は、武豊線を走った最後の蒸気機関車。同機引退を記念して走った「さよなら列車」をけん引した後、1970年10月26日に廃車となりました。製造年月日は1944年4月9日。2024年は製造80周年にあたる節目の年でした。年数は経っていますが、C11265蒸気機関車保存会の方々の手により入念な整備や点検等がなされ、保存状態は極めて良好。鉄道資料館の開館日に限り、同会スタッフ同伴を条件に、運転室の見学も可能です。石炭を投入する先の焚口や火格子を間近に見られるのもポイントでしょう。
半田市鉄道資料館は、1977年の開館。国鉄時代の武豊線やSLに関する資料や写真のほか、各種実物の展示も充実しています。一例としては、発車標、駅名標、武豊線開業時のカットレール、「C11265」銘板、記念列車のヘッドマーク、通票閉そく器とタブレット、制帽、制服、腕章、駅弁立ち売り用の道具、亀崎駅で使われていた小荷物計量秤など。ダッチングマシンを自分で操作して、来館記念の硬券に日付を印字し、改札鋏で入鋏するちょっとした体験もできます。
同館の開館日は月に2回。1月は第2、第3日曜、2~12月は第1、第3日曜で、開館時間は10時から15時までです。半田市の施設ですが、運営面はC11265蒸気機関車保存会が担っています。入館は無料。資料館の隣には1912年に半田駅に設置されたというレンガ造りの「油庫」が移設され、その外観を随時見学できます。こちらもあわせてぜひと思います。