押上や浅草、日本橋、新橋といった東京東側を結び、羽田空港や成田空港のアクセス路線とも接続している都営浅草線。現在、この路線の世代交代が最終段階を迎えています。
置き換えが進められているのは、1991年にデビューした5300形。浅草線開業時から活躍した5000形を置き換えるため、1998年にかけて8両編成27本が製造されました。
最終編成となる5327編成は、他の26本とは異なる特徴的な仕様で生まれました。東京都交通局では当時、自局車両による京急線内での時速120キロ運転を計画していたといい、5327編成はこれに対応するため、モーター出力を従来車よりも向上していました。この計画は実現しませんでしたが、5300形の初期製造編成においても、運転台に「120」というランプが後付けで設置されており、東京都交通局が速度向上を目指していた形跡がうかがえます。
そんな5300形ですが、2018年からは後継車両の5500形への置き換えが進められています。5500形は、5300形が実現できなかった営業最高時速120キロに対応した車両で、「アクセス特急」が時速120キロで走る京成成田スカイアクセス線での運用も想定。2021年6月現在は運用実績が無いものの、6月20日深夜には同線での試運転が実施されています。
京急1500形1700番台や600形、京成3700形、北総7300形といった同世代の車両は、車両更新を受けてまだまだ運用が続く一方、デビューから約30年で引退となる5300形。近年の東京都交通局では、大江戸線12-000形や新宿線10-300R形のように、比較的早い段階で置き換えられることが多く、5300形もこの流れに沿ったものとなっています。
一方、置き換えに完了については、5500形のデジタル無線工事の進捗が影響を及ぼす可能性も。浅草線の直通先で導入が進むデジタル無線ですが、5500形では製造途中からの対応となっており、初期製造の編成は非対応。これらは別途設置工事が必要となります。しかしながら、この工事は1日2日で終わるものではないため、工事編成の入場中は代替編成が必要です。まだ多数残る5500形のデジタル無線非対応編成、その工事に際して5300形がどう動くのかが注目されます。