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春の改正で「シンデレラエクスプレス」が繰り下げに 東海道新幹線の最終列車、CMの頃とはどう変わった?

2024年12月25日(水) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

JR東海は、2025年3月15日に実施するダイヤ改正において、臨時「のぞみ」491号を新たに設定すると発表しました。

夜に駆ける東海道新幹線「のぞみ」
夜に駆ける東海道新幹線「のぞみ」

この491号は、新大阪駅行きの定期「のぞみ」最終列車となる273号(東京駅21時24分発)よりも遅く、東京駅を21時30分に出発します。利用が多いと想定される日に限り走る列車で、さらにわずか6分の繰り下げではありますが、最終列車で関西圏に移動する人たちが、これまでよりも長く東京に滞在できるようになります。

東海道新幹線の下り最終列車といえば、JR東海の発足直後は、「シンデレラ・エクスプレス」という別名で呼ばれることもありました。バブル真っ只中の当時、東京と大阪で遠距離恋愛する恋人たちが、新大阪駅行きの下り最終列車で分かれを惜しむ様子が、0時に魔法が解けるシンデレラと重ね合わされたのだそうです。JR東海でも、この列車をモチーフとしたCM「シンデレラ・エクスプレス」を1987年に制作し、これが大ヒット。その後シリーズ化されました。1988年のクリスマスからは、CM曲に山下達郎さんの「クリスマス・イブ」が使われ、こちらの曲も大ヒット。今ではクリスマスを象徴する楽曲の一つとなっています。

1987年のCMが放送された当時、シンデレラ・エクスプレスと呼ばれた新大阪駅行きの最終列車は、「ひかり」289号。東京駅を21時ちょうどに出発し、新大阪駅に23時52分に到着する、当時の「ひかり」では最速の列車でした。CMで使われていたのは当時最新の100系でしたが、実際の289号は0系による運用。ただ、CMが大ヒットした結果、これを100系による運用に曜日限定で差し替えたこともあったのだとか。

翌1988年、シンデレラ・エクスプレスは「ひかり」315号となり、使用車両も正式に100系に。若干のスピードアップも図られ、新大阪駅到着時刻は23時49分となりました。さらに1992年、新大阪駅行きの最終列車は「のぞみ」303号に変更。スピードアップにより出発時刻が繰り下げられ、東京駅21時18分発に変わりました。その後、さらなる時刻の繰り下げで、2024年現在は21時24分発が最終。そして2025年3月には、ついに21時30分発のシンデレラ・エクスプレスが登場します。「のぞみ」491号は、かつての「ひかり」289号よりも30分遅く東京駅を出発する一方、新大阪駅の到着時間は2分差となっています。

東海道新幹線の最新型車両、N700S。車両性能などの進化で、最終列車の時刻は年々繰り下がり、滞在時間が増えていきました
東海道新幹線の最新型車両、N700S。車両性能などの進化で、最終列車の時刻は年々繰り下がり、滞在時間が増えていきました

1987年のCM放送当時、現在のようなスマートフォンはありませんでした。連絡を気軽に取れる環境ではなかったことが、遠距離恋愛の切なさや会えた時の嬉しさを表現するCMのヒットにつながったのではないでしょうか。今では連絡手段も大きく変わり、直接会わずとも簡単にやりとりできるようになりました。しかしながら、直接会った時の喜びは、今も昔も変わらないのではないでしょうか。そんな人たちの想いを乗せて、シンデレラ・エクスプレスは今日も運転されています。

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