一週間の鉄道ニュースの中から、鉄道コム注目の話題をご紹介するこの連載。今回はまず、「東海道新幹線『初』」の話題から取り上げましょう。
JR東海とオリエンタルランドは1月15日、東海道新幹線で特別編成「Wonderful Dreams Shinkansen」を運転すると発表しました。2024年に東京ディズニーシーでオープンしたテーマポート「ファンタジースプリングス」をテーマとした特別装飾車両で、「アナと雪の女王」「ピーター・パン」「塔の上のラプンツェル」をモチーフとした3エリアのデザインとなっています。運転期間は、2025年2月21日から9月中旬までを予定。東海道新幹線の「のぞみ」「ひかり」「こだま」で運転するとのことです。
この「Wonderful Dreams Shinkansen」の注目すべき点は、ディズニーのラッピング新幹線ということだけではなく、東海道新幹線では初めての特別塗装の新幹線となるということ。1964年の開業以来、東海道新幹線では、特別デザインの車両が登場することは少なく(お召列車用編成や引退時装飾、万博ラッピングなど例外あり)、全面的にデザインを変更した特別車両はこれまで存在しませんでした。ディズニーが好きな一般利用者にとっては嬉しい特別編成の登場ですが、鉄道ファン的にも情勢の変化を感じさせる車両となっています。
2つ目にご紹介するのは、大阪メトロの「新線」開業の話題。同社は1月19日、中央線の新駅「夢洲駅」を開業し、コスモスクエア~夢洲間の営業を開始しました。
夢洲駅は、大阪港に浮かぶ埋立地「夢洲」に設けられた駅。2025年4月に開幕する「大阪・関西万博」の会場最寄り駅ともなる駅です。当初は2024年度末の開業を予定していましたが、2か月前倒ししての開業となりました。
ちなみに、今回開業したコスモスクエア~夢洲間と、すでに開業している大阪港~コスモスクエアは、路線としては大阪メトロ中央線なのですが、線路などの設備は、大阪市などが出資する第三セクター「大阪港トランスポートシステム」が保有しています。大阪港トランスポートシステムでは、コスモスクエア~夢洲~新桜島(JR線桜島駅の北側を予定)間を結ぶ「北港テクノポート線」の建設を計画し、一旦は事業着手していました。
しかし、その後の環境の変化によって事業は凍結。夢洲での万博開催決定を契機に、2019年にコスモスクエア~夢洲間の事業が再始動しました。残る区間の建設は、今後結論を出すとのこと。大阪メトロ中央線の延伸ではなく、JRゆめ咲線(桜島線)や京阪中之島線の延伸という形も検討されています。
3つ目に取り上げるのは、ナレーターの津田英治さんが、1月13日に亡くなったというニュース。津田さんが所属する事務所のオフィスBANが、13日に発表しました。
津田英治さんは、鉄道関連においては、JR東日本の首都圏在来線やJR西日本の関西圏在来線一部路線(大阪環状線や大和路線など)の駅放送、大阪市営地下鉄、近畿日本鉄道の車内放送などの音声を担当していました。首都圏や関西圏のJR利用者にとっては、名前は知らずとも声は聞いたことがあるという、おなじみの方だったのではないでしょうか。
津田さんが担当する車内放送は、最後まで津田さんの音声が使われていた近鉄けいはんな線のものが、上でご紹介した中央線の夢洲延伸にあわせ、別の人によるものに更新され、消滅したようです。駅放送についても、JR東日本の在来線においては、2015年ごろから新しい人の音声への更新が始まっており、2025年1月現在はわずかな駅でしか聞くことができません。ただし、大阪環状線などの一部路線では、今も津田さんの声を聞くことができます。