短くなる通勤特急を、ほかの種別でカバー 朝ラッシュ時の上りの運転形態は
現在、平日ダイヤの朝ラッシュ時間帯では、神戸方面からの準速達列車として通勤急行が運転されています。この列車は塚口駅まで各駅に停まり、六甲駅と西宮北口駅で特急または通勤特急を退避します。今回の改正では、通勤急行を快速に置き換えたほか、西宮北口駅での退避を廃止。快速は六甲駅で通勤特急に追い抜かれた後、終点の大阪梅田駅まで先着します。これにより、神戸、芦屋市内の通勤特急通過駅から大阪梅田駅までの所要時間が、最大で7分程度短くなります。
また、西宮北口駅以東では、これまで特急の後ろを走っていた準急(宝塚駅始発)が、通勤特急の前を走るかたちに変わります。これにより、一部の各駅停車が塚口駅で後続の準急に連絡。武庫之荘~十三・大阪梅田間の所要時間をわずかに短縮しています。
こうした変更の背景にあるのは、通勤特急の10両運転の廃止でしょう。編成を短くする分、ほかの列車で乗客を受け入れ、列車ごとの混雑率を平準化する狙いがあると思われます。なお、快速は塚口駅を通過しますが、代わりに同駅通過の特急がなくなった(塚口駅停車の通勤特急に変更)ため、塚口駅の停車本数は従前と変わりません。


停車駅を振り分けて「詰まり」を予防 夕ラッシュ時下りの運転形態
続いて夕ラッシュ時を見てみましょう。現在、大阪梅田→西宮北口間における下り列車は、10分間隔で「特急→各駅停車→通勤急行」のサイクルです。各駅停車は西宮北口駅どまりで、全区間先着。通勤急行は西宮北口駅まで先着し、同駅で特急を待ちます。このダイヤでは、通勤急行が塚口駅、武庫之荘駅にとまるため、後ろから特急が迫ってきます。また、西宮北口駅では、同駅終点の各駅停車がホームを離れた後、同じホームに特急が入ります。各駅停車が乗客を降ろすのに手間取れば、後続の特急に影響します。この「二重の詰まり」を、改正後のダイヤで改善しているのです。
具体的には、通勤急行を塚口駅通過の快速に、特急を塚口駅停車の準特急に変更。各駅停車は、後続の快速と準特急を園田駅で退避、としています。これにより、前の列車に近づく可能性を極力排除しているのです。

運転順序の変更や停車駅を各種別に振り分けることで、各駅の停車本数(利便性)を維持しつつ、混雑の平準化や「詰まり」をなくす配慮が見られます。新種別が仲間入りする神戸線。ラッシュ時の利便性の向上に、期待がかかります。