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そんな「待避」アリ!? かつて広島で見られた「日本唯一」の列車がツアーで復活!

2025年2月1日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

広島市市街地の北部を走る新交通システム「アストラムライン」では、かつて国内唯一となるものが運転されていました。新交通システムの「急行列車」です。

アストラムラインの6000系(画像:広島高速交通)
アストラムラインの6000系(画像:広島高速交通)

ゆりかもめやニュートラムなど、都市部を中心として全国に敷設されている新交通システム(AGT)は、2025年現在はすべての営業列車が各駅停車での運転です。しかし、アストラムラインでは、1999年から2004年までの5年間、途中駅を通過する急行列車が運転されていました。

当時の急行列車の停車駅は、本通、県庁前、大町、上安、長楽寺、大塚、広域公園前の各駅。全区間の所要時間は現在の各駅停車よりも11分短く、最速列車は25分で走破していたそうです。

この急行運転で特徴的だったのが、これまた新交通システム唯一となる「緩急接続」。急行列車と各駅停車が同じ駅で接続するというもので、後から出た優等列車から各駅停車に乗り換えたり、優等列車が停まらない駅からの乗客が先に出発する優等列車へ乗り換えられるため、優等列車を運転する多くの会社が実施しています。

しかし、一般的な緩急接続では優等列車と各駅停車が同じホームで対面接続するのですが、アストラムラインでは対面接続できる設備がありません。そこで採られた方法は、先行する各駅停車を大町駅で一旦回送扱いにし、引き上げ線で急行列車を待避するというもの。急行列車を先行させた各駅停車は、ふたたびホームに据え付けた後、再度出発する流れです。各駅停車にそのまま乗り続ける利用者にとっては不便ではありましたが、少ない設備で緩急接続を実現するための、ユニークな方法となっていました。

アストラムラインでかつて見られた、急行列車(赤線)と各駅停車(青線)の「緩急接続」のイメージ
アストラムラインでかつて見られた、急行列車(赤線)と各駅停車(青線)の「緩急接続」のイメージ

なお、新交通システムの優等運転自体は、神戸市内を走るポートライナーでも、2006~2016年に快速列車が設定されていました。ただし、こちらでは広島のような緩急接続はありませんでした。

アストラムラインを運行している広島高速交通では、かつて急行列車でも使われていた旧型車両の6000系が2025年度に引退するのを前に、スペシャル企画として、「アストラムライン急行リバイバルトレイン」を開催します。3月9日に実施するこの企画は、6000系によるツアー列車に乗車するもので、列車の停車駅は往年の急行列車と同じ駅。さすがに緩急接続の再現はありませんが、大町駅では、引き上げ線や渡り線などを経由し、同駅ホームを一周する入換乗車体験を実施するといいます。

アストラムライン急行リバイバルトレイン(画像:広島高速交通)
アストラムライン急行リバイバルトレイン(画像:広島高速交通)

「アストラムライン急行リバイバルトレイン」は、事前申込制のイベントとしての開催。参加費は1万8000円(大人・子ども同額)で、1月31日から、「たびまちゲート広島」のウェブサイトにて、先着順で受け付けます。

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