阪急電鉄の京都線と千里線が交わる淡路駅は、現在高架化工事が進められています。現在の淡路駅は地平駅で、京都線と千里線の各上下線が平面交差していますが、工事完成後は2階が改札口、3階が上りホーム、4階が下りホームという4層構造になる予定。さらに連続立体交差事業全体では、淡路駅に加え崇禅寺駅、柴島駅、下新庄駅が高架駅となり、踏切は17か所が除却される予定です。
2024年度末に大きく生まれ変わる予定の淡路駅。ところで、この駅の場所には、かつて東海道本線が通っていたことはご存知でしょうか?
東海道本線が開業した当時、線路は吹田駅を出ると南へ向かい、現在の上淀川橋りょうにおける淀川左岸まで直行するルートを取っていました。しかしながらこのルートは、大正時代の始めに現在のルートへ線路が付け替えられたことで、廃線となりました。
そこに目を付けたのが北大阪電気鉄道。千里方面への鉄路敷設を目指していた同社ですが、建設予算の確保に苦しんでいました。そこで東海道本線廃線跡の払い下げを受け、1921年に現在の阪急京都線・千里線の一部である、十三~千里山間の開業にこぎつけました。なお、同社は後に京阪電気鉄道系の新京阪鉄道に買収され、戦時中の京阪・阪急統合期を経て、戦後に阪急の路線の一部となっています。
京都線の南方駅付近と千里線の吹田駅付近では、道路にかつての東海道本線の線路の痕跡が残されています。また、東海道本線時代に建設された神崎川橋りょうは、北大阪電気鉄道に払い下げられた後も残り、近年まで千里線の鉄橋の橋脚として活用されていました。しかしながら、この橋りょうは高架化工事のために撤去されることとなり、2017年に約140年の役目を終えています。