大阪と京都を結ぶ京阪線。2007年に導入された発車メロディのうち、京阪本線・鴨東線のものは、各駅で流れる曲を始発駅から順につなげると、ひとつの長い曲になる仕組みとなっています。楽曲は、快速特急「洛楽」用、特急列車用、一般列車用、かつ方面別に計6曲が存在し、すべて向谷実さんの作曲によるものです。
しかし、3月1日以降、一般列車用のメロディは、ひとつの長い曲の一部が「欠けた」状態となってしまいました。石清水八幡宮駅2番線(京都方面行き)の発車メロディが流れなくなったのです。

その理由は、同日に実施した信号制御装置の更新にありました。
京阪線の発車メロディは、起終点の駅や待避線を有する駅など、「場内信号機」が設置されている駅に導入されています(七条駅を除く)。その駅の出発信号機が赤色から変わり、列車が発車できる状態になると、自動的にメロディが流れる仕組みです。石清水八幡宮駅も、現在でこそ相対式2面2線のホーム構成となっていますが、かつては上下線ともに待避線があったため、発車メロディが導入されていました。
京阪の広報担当者は、「今回実施した信号制御設備の更新に連動するかたちで、2番線の発車メロディが鳴らなくなった」と説明。これにより、京都方面行き一般列車用のメロディ(曲名は「KIRAMEKI」)については、曲中に穴が開く状態となりました。なお、「3番線(京都方面)については現在も鳴動する」(担当者)といいます。
今後、同駅のメロディの復活、または別の駅で鳴らすなどの措置をとり、この「穴開き状態」を解消する予定があるかを担当者に聞きましたが、それは「検討していない」とのこと。今後、「KIRAMEKI」については、乗車中に「つないで1曲」を聴けないということになります。なお、京阪はこの件について、曲の作者である向谷実さんにも告知しているとのことです。

ところで、「くずはMALL」内にある京阪電車のミュージアム「SANZEN-HIROBA」には、かつて、タッチパネル操作で各駅の発車メロディを聴ける「デジタルライブラリー」がありました。しかし、京阪の経営企画部に質問したところ、「その設備は老朽化により撤去している」との回答。同施設では現在、「光と音の演出」などのタイミングで発車メロディが流れることもありますが、この際に石清水八幡宮駅2番線のものが流れることも「ないと思われる」とのことでした。そのため、駅以外の場所でも、同駅2番線の発車メロディを耳にすることはできないようです。