鉄道車両の連結部は、人が入れるほどのスペースがある開口部となっています。そのため、この部分をドアであると勘違いした人や視覚障がいのある方などが、ホームから転落してしまう事故が発生する危険性が。これに対して鉄道各社では、近年導入した車両において、これを防ぐための「転落防止幌」を設置しています。
この転落防止幌は、これまでは運転台のない中間部への設置が主で、先頭車どうしの連結部に設置する例はわずかでした。しかしながらJR西日本では、2010年に発生した先頭車どうしの連結部への転落死亡事故をきっかけに、先頭車への転落防止幌設置を推進していきました。
転落防止幌は、221系や223系など、関西圏を中心とした新型車両や既存車両のうち、先頭車どうしを連結する運用がある車両を対象に設置。2015年にデビューした広島エリア用の227系では、この転落防止幌を翼にたとえ、「RedWing」という車両愛称も付けられました。
JR西日本では、これまでは先頭部の転落防止幌の設置について、一般の「電車」しか対象としていませんでしたが、今後は非電化路線向け車両へも導入されるかもしれません。2021年に登場した電気式気動車「DEC700」では、同社の非電化路線向け車両としては初めて、先頭部に転落防止幌を設置。今後この車両が量産されると、非電化路線でも連結部の安全対策が進むことになります。