黒部ダムや立山連峰など、迫力のある景色を楽しめる「立山黒部アルペンルート」。国内のみならず海外からも多くの観光客が訪れる人気観光地で、2018年度には計98万人が訪れています。
このアルペンルートは、富山県の立山駅から、「雪の大谷」で知られる室堂駅や、立山連峰直下を抜ける立山トンネル、難工事で知られた黒部ダムなどを経由し、長野県大町市の扇沢駅へ抜ける1本道。途中での折り返しは可能で、熟練登山者向けの登山道「水平歩道」「日電歩道」などの分岐もありますが、一般的には途中で別方向に向かうことはできません。
そんな立山黒部アルペンルートですが、2024年度には途中で分岐する新たなルートが開通する予定です。その名も「黒部ルート」。黒部峡谷鉄道の旅客列車の終点である欅平駅から、黒部川沿いに登り、黒部ダムに至るルートです。
この黒部ルートは、戦前、黒部川第三発電所へ水を導く仙人谷ダムの建設のために整備されたもの。小説「高熱隧道」で描かれたように、途中で異常高温地帯に遭遇するなど、難工事を極めました。また戦後には、黒部ダムで取水して発電する黒部川第四発電所の建設にも活用されています。
黒部ルートは、現在は関西電力の専用線という扱いで、この線路は「上部軌道」とも呼ばれています。「黒部ルート見学会」として年に計1000人ほどが通過するチャンスはありますが、それ以外は基本的に一般人が立ち入ることはできませんでした。しかしながら、富山県が主体となって黒部ルートの一般開放を目指した取り組みが進められた結果、安全対策工事が完了した後に、正式に観光ルートとして開放されることとなりました。
富山県では、この黒部ルートの名称を10月31日まで募集中。名称が採用された応募者のうち、抽選で選ばれた3組は、一般開放後される黒部ルートに招待するということです。