駅と駅の間隔は都市部ほど狭く、ローカル区間では広めなのが日本の鉄道路線。JR各社の路線で見てもその傾向はあてはまりますが、駅間の平均距離が最も短いのは大都市の中を走る線区とは限りません。
JRの路線でその距離が最短なのは、横浜市、川崎市の臨海部を主に結ぶ鶴見線。本線にあたる鶴見~扇町間のほか、2つの支線(浅野~海芝浦間、武蔵白石~大川間)を合わせた距離は9.7キロで、駅数は全線で13あります。これらの駅間の平均を出すと0.81キロとなり、駅が高い密度で設けられた線であることがわかります。JRの旅客用の路線で駅間平均距離が1キロに満たないのはこの鶴見線のみです。
国土交通省の「鉄道要覧」に基づく路線の定義では、大阪環状線は天王寺~新今宮間(20.7キロ)、山手線は品川~田端間(20.6キロ)になります。この基準で駅間の平均距離を計算すると、大阪環状線は1.15キロ、山手線は1.29キロとなり、どちらも1キロを下回ることはありません。実際の運転形態に合わせて、それぞれ環状区間1周で平均を出した場合は、大阪環状線は21.7キロ、19駅で1.14キロ、山手線は34.5キロ、30駅で1.15キロとなり、鶴見線に次いで2位、3位に。4位以下は、米子~境港間を結ぶ境線(1.19キロ)、広島市内を走る可部線(1.2キロ)、JRゆめ咲線の愛称を持つ桜島線(1.37キロ)、山口県宇部市、山陽小野田市の工場地帯を主に走る小野田線(1.39キロ)と続きます。
山手線は高輪ゲートウェイ駅の開業、可部線は可部~あき亀山間の延伸で、以前と比べて平均距離が短くなりました。駅の新設または廃止で変化する項目の1つとして、今後も駅間の距離に注目していきたいと思います。