主に東北地方の臨時列車で活躍してきた485系「ジパング」が、10月10日運転の団体専用列車をもって引退します。
この「ジパング」は、両先頭車はいわゆる「ジョイフルトレイン」の外観ですが、中間の2両は、485系の原型の面影を残す、最後の現役車両となっています。
「ジパング」は、もともとは4両編成のお座敷車両「やまなみ」として改造されました。しかし、同じ4両編成で姉妹車の「せせらぎ」を、6両編成の「リゾートやまどり」として改造する際、「やまなみ」の中間車を捻出。余った先頭車2両と、特急「白鳥」の運用減少によって余剰となった485系3000番台の中間車2両を組み合わせ、「ジパング」が誕生しました。
2021年現在も活躍する485系は、この「ジパング」と、「リゾートやまどり」、お座敷車両「華」の3本16両のみ。しかし、「ジパング」の先頭車と「リゾートやまどり」「華」は、車体を原型とは全く異なるものへ載せ替えた車両。そのため「ジパング」の中間車2両は、リニューアル工事を受けてはいるものの、かつて全国各地の特急列車で活躍した485系の姿を残す、最後の現役車両なのです。
485系は、1964年に同形式グループの481系がデビューして以来、四国を除く全国各地の電化路線で特急列車として使用されました。その結果、保存車両は103系などの他形式よりも恵まれてはいますが、その保存車の多くは、初期に製造された、いわゆる「ボンネットスタイル」のグループ。中期以降に製造された車両の保存は、九州で活躍した先頭車1両と、北海道向けに製造された1500番台の1両のみ。この観点でも貴重な車両です。
このようなイベント車両では車両保存は望み薄でしょうが、今回の「ジパング」引退で、485系の歴史は大きな転換点を迎えることとなります。