岡山駅と出雲市駅を結ぶ特急「やくも」。山陽と山陰を結ぶ陰陽連絡特急として重要な役割を持ち、国鉄時代にはスピードアップのため、振り子式車両381系が導入されました。
この「やくも」で使われる381系は、「踊り子」から185系が撤退した今、定期運用を持つ唯一の国鉄特急型車両。しかしデビューから50年近く、「やくも」での運用開始からも40年近くが経過し、近々別の車両へ置き換える方針が立てられています。この381系代替車両は、どのような車両になるのでしょうか。
まず考えられるのは、381系と同じ振り子車両です。コロによってカーブで車体を傾斜させ、曲線通過速度の向上を図る振り子車両。これまで一般車両が走っていた路線に新たに振り子車両を投入するには、架線の張り替えや、車両に設置するパンタグラフの工夫といった手間が掛かります。一方、「やくも」が走る伯備線では、すでに381系対応として架線が調整されているため、この点については問題ありません。
また、近年主流となっている、空気ばねによる車体傾斜式車両が導入されることも考えられます。空気ばねによる方式のメリットは、振り子式よりもコストが低いこと。JR東日本では、振り子式のE351系を、空気ばね式のE353系によって置き換えています。伯備線においても、空気ばね式のJR四国8600系による試運転が実施されており、この方式が選択される可能性があります。
一方、2024年春を予定する北陸新幹線の敦賀延伸開業によって余剰となった北陸本線用特急車両が、「やくも」用として転用される可能性もあります。しかし、JR西日本が新型コロナウィルス感染拡大を受けて発表した「『JR西日本グループ中期経営計画2022』見直し」においても「やくも」用車両新造と明記されていること、2021年4月の同社の資料でも約60両を新造予定となっていることから、こちらの可能性は低いと考えられます。