鉄道コム

鉄道コらム

山岳トンネルではなかった 日本初の鉄道トンネルの建設目的は?

2021年11月3日(祝) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

国土の7割を山地が占める日本は、トンネル大国です。鉄道トンネルでは、貫通時点では世界最長の陸上トンネルとなっていた東北新幹線「八甲田トンネル」や、難工事で知られるほくほく線「鍋立山トンネル」など、世界に誇るトンネルが多数存在。日本の鉄道建設の初期から、トンネルとは切っても切れない縁がありました。

そんなトンネル大国の日本で、初めて供用された鉄道用トンネルは、何を通るために作られたのでしょうか?もちろん山の下?いいえ、実は川をくぐるためのものでした。

1874年、日本で2番目に開通した鉄道である大阪~神戸間の路線では、途中で石屋川と交差していました。この石屋川は、周囲よりも川底が高い「天井川」。そのため、川をくぐる珍しい形の「石屋川トンネル」が、1871年に竣工。これが日本初の鉄道トンネルとなりました。

石屋川と同じ「天井川」の芦屋川の空中写真。川の下を線路が通っています(出典:国土地理院)
石屋川と同じ「天井川」の芦屋川の空中写真。川の下を線路が通っています(出典:国土地理院)

この石屋川トンネルは、周辺区間の高架化によって現存しません。しかし、大阪~神戸間開業時に同時に供用を開始した「芦屋川トンネル」と「住吉川トンネル」では、現在もその痕跡が。この2つのトンネルも複々線化時に解体されてしまい現存しませんが、線路は今でも川の下を通っており、開業時の面影が残されています。

「芦屋川トンネル」の跡地。橋の上に芦屋川が流れています
「芦屋川トンネル」の跡地。橋の上に芦屋川が流れています
芦屋川の川岸から。左奥に川より低い位置を通る線路が見えます
芦屋川の川岸から。左奥に川より低い位置を通る線路が見えます

ちなみに、日本初の山岳トンネルとして建設されたのは、京都~大津間の「逢坂山トンネル」。こちらも線路付け替えによって廃止されましたが、東側の洞門は鉄道記念物として今も残されています。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

関連鉄道リポート

鉄道コムおすすめ情報

画像

ラストランは2月10日

「青胴車」5001形は2月10日にラストラン。引退前の「乗車会」開催や、引退記念グッズ発売も。

画像

「T4編成」展示へ

1月で引退の「ドクターイエロー」T4編成、先頭車がリニア・鉄道館で保存へ。6月に展示開始予定。

画像

幻の東京圏「改良計画」とは?

1950年代の国鉄は、東京圏を今と違った形に改良する計画を持っていました。その中身とは?

画像

「サステナ車両」5月デビュー

元小田急の西武8000系が、車両基地を出場。デビューは2024年度末から2025年5月末に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、標準~望遠・超望遠レンズ編です。

画像

1月の鉄道イベント一覧

2025年も鉄道コムをよろしくお願いします。1月の計画立案には、イベント情報をどうぞ。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。