近畿日本鉄道のけいはんな線は、近鉄奈良線のバイパス路線。大阪メトロ中央線と直通運転し、大阪市内中心部と、奈良県西部の生駒、そして学研奈良登美ヶ丘を結んでいます。
現在は近鉄の路線となっているけいはんな線ですが、かつて東大阪線として建設された長田~生駒間は、建設中は近鉄ではなく「東大阪生駒電鉄」という別の事業者の路線でした。
ナゾの東大阪生駒電鉄の正体は、近鉄の100%出資子会社。東大阪線は、鉄道建設公団が路線を建設して開業前に設備を譲渡し、開業後に事業者が建設費を国へ返済するという「鉄建公団『P線』」方式で建設されました。東大阪生駒電鉄は、この建設業務の効率性向上のために設立された事業者でした。役目を終えた東大阪生駒電鉄は、1986年10月1日の開業を前に、同年4月1日付で近鉄に吸収合併されています。
同様のスキームは、京阪電気鉄道の鴨東線建設でも用いられ、「鴨川電気鉄道」という事業者が存在していました。ただし、同区間はもともと京福電気鉄道が敷設免許を取得していたため、近鉄の場合と異なり、京阪と京福電気鉄道の合同出資という形となっていました。
余談ですが、けいはんな線の生駒~学研奈良登美ヶ丘間は、これまた別の「奈良生駒高速鉄道」が設備を保有。近鉄や奈良県などが出資する第三セクター事業者である同社が設備を保有し、近鉄に貸し付けて運行する形態となっています。