現在の東北新幹線では、看板列車の「はやぶさ」以下、「はやて」「やまびこ」「なすの」が運転されています。このうち、「やまびこ」は「はやぶさ」に次ぐ準速達列車や盛岡以南の各駅停車として、「なすの」は東京~那須塩原・郡山間の区間列車として、ともに多数の列車が運転されています。
一方、2002年の東北新幹線八戸開業時に最速達列車として登場した「はやて」は、現在は東京駅を発着する定期列車は未設定。2021年3月改正のダイヤでは、盛岡・新青森~新函館北斗間で上下計4本のみの運転となっています。運転区間が「はやぶさ」と重複し、本数も非常に限られる「はやて」、なぜ今も残存しているのでしょうか。
その答えは、列車の運転速度と料金にあります。最高時速320キロで運転する「はやぶさ」は、最高時速275キロの「はやて」「やまびこ」よりも割高な特急料金が設定されています。そのため、かつては最高時速275キロの速達列車は、E5系による運転であっても「はやて」を名乗っていました。
一方、東北新幹線の盛岡以北と北海道新幹線では、路線最高時速は260キロに設定されており、「はやぶさ」の最高速度で運転することはできません。「はやぶさ」の加算料金は、時速320キロ走行ができない東京~大宮間と盛岡~新青森~新函館北斗間には設定されていませんが、この列車名称の使い分けの名残からか、現在でも「はやて」の名称が残存しています。
なおJR東日本では、2024年にも時速300キロ運転が可能な山形新幹線用車両のE8系を導入する予定です。「つばさ」が全てこの車両へと置き換わり、またE2系も全て引退すると、東北新幹線用車両の全てが時速300キロ超での運転が可能となります。このタイミングで料金制度が見直され、ひいては「はやて」の愛称そのものの動きに繋がるかもしれません。
【11月17日追記:一部表記を訂正しました】