テレビを観ていると、若々しい方の実年齢を知ってビックリすることがあります。が、鉄道車両でも、同じようなケースがあることをご存知でしょうか。
たとえば、阪急電鉄5000系。外観はとてもスタイリッシュですが、その製造初年は1968年と、じつは御年53歳の大ベテラン。見た目と実年齢が一致しない、まさに、鉄道界の究極のアンチエイジングといえるでしょう。
5000系は、神戸高速鉄道の開業で始まった、山陽電気鉄道との直通運転用に開発された車両です。最初は行先表示の看板をぶら下げる、当時の阪急車の標準的なスタイルでした。その後、冷房装置の搭載、行先表示幕の取りつけにともなう前面形状の変更などを経験しますが、2001年頃に車体の大規模更新という、さらなる転機が訪れます。登場から30年が経過した本形式を、今後も長く使うことを考え、接客設備や車体スタイルに大きく手を加えることになったのです。2007年頃に全車両の更新が完了し、デビュー時の姿からは想像できない、現代的なデザインに生まれ変わりました。
現在は走り慣れた本線を離れ、8本中7本が6両編成に短縮の上、今津線の西宮北口~宝塚間で運転されています。優等運用での雄姿はもう見られませんが、「まだまだワシも捨てたもんやないで」と、新たな仕事場で元気に活躍しています。
若い者に主役を譲る一方、自分も負けじと若々しいスタイルで奮闘する、そんな姿はまさに、「イケてるオヤジ」。5000系を見ていると、筆者はそう感じるのです。