鉄道コム

鉄道コらム

阪神特急のシンボル 時代を超えた伝統の立役者「赤胴車」

2021年12月11日(土) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

阪神電気鉄道といえば、特急・急行などの速達列車は赤・オレンジ、各駅停車は青と、車体の色が異なることで知られています。その起源は、1958年にデビューした3301形・3501形にまでさかのぼります。同車が「上半身クリーム色、下半身赤色」のツートンカラーを初めて採用。伝統の歴史は、ここから始まったのです。

クリーム色と赤色。阪神の特急・急行といえばこの色だった
クリーム色と赤色。阪神の特急・急行といえばこの色だった

登場後まもなく、このカラーリングは「赤胴車」と呼ばれるようになりました。これは当時、「赤胴鈴之助」というマンガ作品が放送されており、車体の「胴」に当たる部分が赤いことにちなんで名づけられたといわれています。以降、車体スタイルは変わりつつも、1995年まで、速達列車向けの車両はこの塗り分けで製造されました。

その後、2001年登場の9300系、2007年登場の1000系では、別のカラーリングを採用。そして、これまでの車両も、車体更新にともなう塗装変更や廃車により、「赤胴車」は急速に数を減らしていきました。2015年5月には、本線の営業運転を終了。その後も武庫川線には残りましたが、2020年6月2日をもってこちらも引退。約60年にわたる「赤胴車」の歴史に幕を下ろしました。現在、最後まで武庫川線を走った1両が、武庫川団地の敷地内に保存されています。

武庫川団地の敷地内に保存された「赤胴車」
武庫川団地の敷地内に保存された「赤胴車」

なお、色は変われど、「プレストオレンジ」をまとう9300系に「ヴィヴァーチェオレンジ」を採用した1000系、「カインドブルー」帯の5700系などと、「速達は赤・オレンジ系、各停は青系」という阪神の伝統は、いまも変わりません。そして、安住の地を手にした赤胴車の保存車は、伝統の生き証人として、今日も後輩の活躍を見守っています。

 

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

高崎・盛岡に新型気動車

ハイブリッド気動車「HB-E300系」2025年度下期デビュー。八高線や釜石線などに投入。

画像

東武の車両「記録推奨度」

この車両、いつまで走る? 引退が危ぶまれる車両や、見た目が変わりそうな車両をご紹介。今回は東武編です。

画像

4000系が「機関車風」塗装に

「西武秩父線開通55周年記念車両」11日運転開始。4000系をE851形を模した塗装に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、高倍率ズーム・広角レンズ編です。

画像

京都鉄博に381系

12月12日~17日に特別展示。16日までは、一部で「スーパーくろしお」色ラッピングも実施。

画像

11月の鉄道イベント一覧

数百件の情報を掲載中。鉄道旅行や撮影の計画には、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。