12月4日と5日、仙台~青森間で「東北本線130周年号」が走り、東北本線では久々の長距離旅客列車として注目を浴びました。この東北本線は、1968年10月~1972年3月の間、日本最長距離を走る定期普通列車が運転されていました。
この最長列車のうち、1971年3月に運行開始した、青森発上野行き228列車(走行距離750.3キロ)を見てみましょう。この列車は青森を10時30分に出発し盛岡(14時50分着)、仙台(20時20分着)と穏やかな走行をしていき、常磐線経由で終着上野には翌4時55分と早朝に到着します。使用車両は、10系などの旧型客車。今では博物館でしか見られないような、ボックスシートが並ぶ車両です。表定時速は40キロ。現在では会津鉄道の「AIZUマウントエクスプレス」(表定時速40.2キロ)などが近い速度です。
同じ行程を、現代の同じ時間帯を走る列車で乗り継いでみましょう。青森10時46分発の青い森鉄道八戸行に乗車し、八戸、盛岡(14時53分着)、一ノ関、小牛田、仙台(18時18分着)、原ノ町、いわきで乗り換え、勝田(23時25分着)で一泊します。翌日、4時27分発始発列車に乗ると、上野に6時27分に到着します。1971年の228列車と比べると、盛岡周辺で追い抜き勝田まではリードしていたのですが、勝田で一泊したため、到着は1時間半ほど遅くなってしまいました。
しかし、日本鉄道史全体を見ると、先述の228列車は史上最長距離運用には遠く及びません。史上最長距離運用は、1956~61年の東海道線111・112列車で、その運行区間はなんと東京~門司間。下り111列車は東京駅を14時30分に出発し、終点の門司駅には翌日の22時01分に到着します。東京駅出発時点で客車を14両連結し、所要時間は31時間31分。走行距離は1123.9キロと、全てが圧倒的なボリュームです。
現代の乗り継ぎダイヤも見てみましょう。東京駅を14時37分発の熱海行に乗車し、途中12回の乗り換えと西明石での宿泊を挟むと、門司に翌日16時22分に到着します。所要時間は25時間45分で、宿泊があったにもかかわらず、111列車より約6時間も早く着きます。
現代の普通列車は、運転区間こそ大変短くなってしまいましたが、1950~70年代よりも速度は向上したことがわかります。これから冬の18きっぷシーズン、速くなった普通列車で旅に出かけてみてはいかがでしょうか。