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「方向幕」や「LED」ではない、普及せず終わった第3の行先表示器とは

2022年1月20日(木) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

列車の行先や種別を表示する機械は、印刷した幕を回して表示を切り替える「方向幕」や、発光ダイオードを敷き詰めたLED表示器などが使われています。現在はこの2つの方式が主流ですが、かつては他にもユニークな表示器が導入されたことがありました。

名古屋鉄道が導入したこのユニークな表示器は、三菱電機製の「オーロラビジョンR-STAY」。表示部に反射パネルを用いており、LED表示器に代わる製品として開発が進められました。名鉄では、2000系「ミュースカイ」や3300系など、2005年ごろに製造された車両でこれを採用したほか、1000系「パノラマSuper」特別車にも従来方式から置き換える形で設置されました。

オーロラビジョンR-STAYを採用した名鉄2200系
オーロラビジョンR-STAYを採用した名鉄2200系

オーロラビジョンR-STAYの特徴は、その高精細な描写力。LEDのような電子表示器でありながら、方向幕のような描写が可能で、見やすさではLEDを上回る印象がありました。

また、一度表示を切り替えると、その後は通電する必要がない点もメリット。反射パネル自体は発光しないため、夜間は蛍光灯などの照明が必要となりますが、LED表示器のように表示中は常時通電する必要がありませんでした。

名鉄2200系のオーロラビジョンR-STAY
名鉄2200系のオーロラビジョンR-STAY

しかしながら、この製品は名鉄以外の導入事業者が現れず、生産中止に。名鉄も2200系の増備車(2230系)ではフルカラーLEDの採用に切り替えており、広く普及することはありませんでした。

ちなみに、「オーロラビジョン」は三菱電機製の大型ディスプレイのブランド名。「R-STAY」こそわずかな導入で終わってしまいましたが、「オーロラビジョン」自体は、野球場のスコアボードなど、国内外で広く採用されています。

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