鉄道コム

鉄道コらム

忠犬ハチ公の縁でお引越し 渋谷駅前のマスコット電車

2022年1月3日(月) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

今日も多くの人々が行きかう、渋谷駅ハチ公口前のスクランブル交差点。少し前まで、この近くに電車が鎮座していたのをご存知でしょうか。

ハチ公口に鎮座する東急5000系「アオガエル」。すっかり渋谷の街並みに溶け込んでいた
ハチ公口に鎮座する東急5000系「アオガエル」。すっかり渋谷の街並みに溶け込んでいた

その車両は、東急電鉄初代5000系。1954年から製造され、当時の最新技術を多く採用したことで話題を集めました。車体のスタイルと色から、ついたあだ名は「アオガエル」。東急線からの引退後、多くが地方私鉄に売却され、第二の人生を歩むことになります。

1993年、長野県の上田電鉄で現役を引退した5001号車が、東急に里帰りのうえ保存されることになりました。最初は東急の車庫や車両メーカーで保存されていましたが、2006年に車体の短縮と床下機器の撤去を実施、観光案内所として渋谷駅前に設置されました。ハチ公の銅像とともに渋谷駅のシンボルとなり、ハロウィンの時期の仮装など、時々見せる「コスプレ姿」が、道行く人の目を楽しませていました。

しかし、同駅前の再開発により、5001号車は残念ながら撤去が決まりました。ですが、捨てる神あれば拾う神あり。なんと秋田県大館市の「秋田犬の里」が、施設の休憩所として引き取ることになったのです。これは、銅像になっている犬の「ハチ」が秋田犬で、渋谷区と大館市に縁があったことで実現したもの。移設ののち、2021年5月から一般公開されています。

ハチの縁で、新天地へ旅立ったアオガエル。はるか秋田の地から、いまも渋谷の街を見守っていることでしょう。

5000系アオガエルを眺めるハチ。秋田への引っ越しを前に、彼は何を思ったのだろう
5000系アオガエルを眺めるハチ。秋田への引っ越しを前に、彼は何を思ったのだろう
 

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

関連鉄道リポート

鉄道コムおすすめ情報

画像

高崎・盛岡に新型気動車

ハイブリッド気動車「HB-E300系」2025年度下期デビュー。八高線や釜石線などに投入。

画像

東武の車両「記録推奨度」

この車両、いつまで走る? 引退が危ぶまれる車両や、見た目が変わりそうな車両をご紹介。今回は東武編です。

画像

4000系が「機関車風」塗装に

「西武秩父線開通55周年記念車両」11日運転開始。4000系をE851形を模した塗装に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、高倍率ズーム・広角レンズ編です。

画像

京都鉄博に381系

12月12日~17日に特別展示。16日までは、一部で「スーパーくろしお」色ラッピングも実施。

画像

11月の鉄道イベント一覧

数百件の情報を掲載中。鉄道旅行や撮影の計画には、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。