ステンレスと並んで、現代の鉄道車両で多く使われているアルミニウム合金。日本の鉄道線で本格的に導入されたのは、オールステンレス車と同じ1962年のこと。2022年で60周年を迎えます。
日本初の本格的なアルミ車両は、山陽電気鉄道2000系の2012編成。メーカーの川崎車輌(現:川崎車両)と西ドイツのWMD社の技術提携で開発されたものです。最初は、車体のひずみを隠すためのウロコ模様の貼り付け、車体の腐食防止のためのクリア塗装などの対策が、試験的に施されていました。しかし後年、これらは不要と判断され、中止となっています。
アルミ車のメリットは、腐食に強いこと、ステンレス以上に車体を軽くできること、リサイクルしやすいことなどが挙げられます。製造コストが高いというデメリットはあるものの、それを上回るメリットがあると判断した事業者では、積極的にアルミ車両が導入されました。なお、車体の塗装は、あり・なしのどちらでも問題なく、この部分については会社によって対応が異なります。2000年代に入ると、日立製作所がアルミ車両製造コンセプト「A-train」を展開するなど、メーカー統一規格によるアルミ車両も増えました。
ステンレスとともに、鉄道車両に用いる素材の主力となったアルミ合金。本格導入から60年の節目を迎えたアルミ車両は、今後もさらに進化を続けていくことでしょう。