現在、鉄道の車体に用いることが多くなったアルミ合金とステンレス鋼。なかでも、台枠や骨組みを含む、車体を構成するほぼすべての部品をステンレスとしたものは「オールステンレス車」とされています。車体の外側だけをステンレスとしたものは「セミステンレス車」と呼ばれますが、とくに2000年以降、この形態で製造された例は少ないようです。
日本初のオールステンレス車は、1962年製造の東京急行電鉄7000系(初代)。2022年で60周年の節目を迎えます。
東急7000系は、メーカーの東急車輛製造が、アメリカのバッド社と技術提携して生まれた車両。「腐食に強く、車体が長持ちする」、「車両を塗装が不要」、「軽量で、省エネ化につながる」など、従来の鋼鉄製よりもメリットが多いことが確認されました。以降、東急はオールステンレス車体を積極的に採用。1980年代以降は、ほかの鉄道会社でも採用例が増えていきました。
当時のステンレス車両の特徴は、コルゲートという、洗濯板のような波模様。これは、溶接時に出るひずみを隠すことが目的だったとか。そして、時代とともに技術が発達し、より軽く頑丈な設計ができるようになると、コルゲートは使われなくなっていきました。現在は凹凸のないスッキリした外観にまで進化しています。
登場から60年。ステンレスは今後も、鉄道車両の材質の王様としてあり続けるでしょう。今後の進化に、ますます期待がかかります。