阪神電気鉄道の各駅停車専用車両は、「ジェットカー」と呼ばれています。短い距離の駅間を高速で走れるよう、すぐれた加速・減速の性能を持っており、走る様子がジェット機に例えられたことが由来だそうです。
特急・急行用車両とは性能が大きく異なるため、車体の色でも区別をつけることになりました。1958年の登場時は緑色でしたが、のちにウルトラマリンブルーへ変更。急行系の「赤胴車」に対し、こちらは「青胴車」という愛称がつけられました。
その後、車体スタイルの変化を経験しつつも、「各駅停車は青胴車」という時代が30年以上続きました。しかし1995年、阪神淡路大震災復興後の新型車両(5500系)では、新たなカラーリングを採用。ジェットカーとして新たな時代を迎えることになりました。ただし、新型車両も色合いは青色がベースとなっており、「青い車両は各駅停車専用」という伝統は、現在も引き継がれています。
2010年代に入っても多くの青胴車が運転されていましたが、2015年、新世代のジェットカーとして5700系が登場。これにより置き換えが急速に進み、2022年1月現在では、5001形(2代目)4両編成6本が残るのみとなりました。2023年度までには置き換えが終わり、青胴車は見納めとなる予定です。
阪神の短距離走者のパイオニアとなった青胴車。俊足の伝統を後輩に託し、半世紀以上にわたる歴史に、まもなく幕を下ろします。