「電車が電気を集めるため、屋根の上に載っている菱形の機械はなに?」
というクイズ、一度は聞いたことがあるかと思います。その答えは「パンタグラフ」ですが、最近は4本足の菱形タイプは減り、1本足の「くの字」型が増えています。
1本足のパンタグラフは、「シングルアームパンタグラフ」と呼ばれます。これまでの4本足タイプよりもつくりが簡単で、メンテナンスが楽なこと、軽くて車両そのものの重さを減らせるなどのメリットが多く、使う車両が増えています。
また、意外な特長が、「雪に強い」こと。4本足のものでは、積もった雪の重みでパンタグラフが下がって架線から離れ、電車が電気を取れず、動けなくなったこともありました。ですが、シングルアームは雪が積もる部分が少なく、このようなことは起こりにくくなりました。実際、雪対策のため、わざわざシングルアームに変えた車両も多いそうです。
じつはシングルアームパンタグラフ、その歴史は意外と長く、1955年にフランスの会社で開発されたのがはじまりです。最初はこの会社の製品がヨーロッパで多く使われていましたが、その後、別の会社でも製造できるようになりました。日本で開発が進んだのは1990年頃で、以降、使う車両が増えていきました。
パンタグラフの方式として、いまや当たり前のシングルアーム。クイズの問題文が、「菱形の機械」から「くの字型の機械」に変わる日も、近いかもしれませんね。