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2000年代に産まれた新しいSL、イギリスを走る「トーネード」

2022年2月6日(日) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

子どもから大人まで人気な蒸気機関車(SL)。煙を吐いて力強く走る姿は、現代の車両にはない魅力があります。しかし、性能は電気機関車やディーゼル機関車に劣り、先進国では第一線からは退いている車両です。日本でも国鉄の蒸気機関車は1948年を最後に新造されておらず、現在動態保存されている車両も、多くが戦前あるいは戦時中に製造された車両となっています。

一方、海外に目を転じてみると、なんと2008年に落成した、新しい蒸気機関車が存在します。イギリスを走るClass A1(A1形)60163"Tornado"(トーネード)です。

イギリスの蒸気機関車、Class A1 60163"Tornado"((c)Electric Egg Ltd.- stock.adobe.com)
イギリスの蒸気機関車、Class A1 60163"Tornado"((c)Electric Egg Ltd.- stock.adobe.com)

Class A1は、ロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道(LNER)で活躍した蒸気機関車。1948年から49機が製造され、急行列車などに充当されました。しかしながら、日本同様にイギリスでも蒸気機関車の廃止が進められ、1966年に全機が引退。保存されることなく全車解体となりました。

時代が下り1980年代になると、それまで進められてきた蒸気機関車のレストアに留まらず、新たな蒸気機関車の製造というチャレンジが模索されました。愛好家たちによって設立された団体によってClass A1の新造プロジェクトはスタートし、1994年から14年かけて車両が製造されました。そして落成した60163号機は、湾岸戦争で活躍したイギリス空軍の戦闘機「トーネード」にちなんだ愛称が、チャールズ皇太子によって命名されたのです。

70年ぶりに製造されたA1形であるトーネードは、主にツアー列車でイギリス各地を走行しています。また、映画「パディントン2」や、BBCの自動車番組「TopGear」のレース企画に登場するなど、イギリスの人々に広く愛される車両となっているようです。

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