列車の先頭部、運転席と客室の仕切りにある窓。ここから前の景色を眺めることが好きな方も、多いことでしょう。
ですが、カーテンが閉まっており、前が見えないことがあります。とても残念ですが、カーテンを閉じるのには、もちろん理由があります。
このカーテンは「遮光幕」などと呼ばれ、夜間、または地下鉄のようなトンネルが長い区間などを走るときに使われます。その目的は、暗い中で運転士の視界を確保すること。
夜、自動車を運転するときは、車内の明かりを消すはずです。これは、明かりがフロントガラスに反射し、前が見えにくくなるのを防ぐため。同じことは鉄道にもいえるのですが、さすがに客室を真っ暗にするわけにはいきません。そこで、カーテンを使い、運転席だけを暗くしているのです。
なお、路面電車などでは、運転席が開放的なつくりになっていることがあります。この場合、運転士のすぐ後ろに仕切り板をつけるほか、その周辺少しだけをカーテンで覆い、目線の先に明かりが入らないようにしていることが多いようです。
ちなみに旧国鉄時代は、乗客にジロジロ見られることをいやがり、運転士はもちろん車掌までも、明るい時間でもカーテンを閉じていたことがあったとか。考えてみれば、仕事風景を誰かにずっと見られるのは、あまり気持ちのよいことではないでしょう。前面風景を楽しむときは、なるべく運転士を見ないなど、少し配慮してあげたほうがよいのかもしれませんね。