真岡鐵道のSL列車「SLもおか」では、冬になると客車から白い煙がモクモクと放たれるのを見ることができます。蒸気機関車から出る煙は当たり前ですが、なぜ客車から煙が出ているのでしょうか。
この煙の正体は、「蒸気暖房」という暖房システムによるもの。蒸気機関車が作り出した水蒸気を、客車内を温めるために活用しているのです。
蒸気機関車が主流だった時代、車内の暖房といえば蒸気暖房が当たり前でした。電気機関車やディーゼル機関車が登場した後も、しばらくは蒸気暖房が使われており、蒸気を用いない電気機関車などでも、あえて暖房用に蒸気発生装置を搭載していた車両もありました。
しかしながら、システムのメンテナンスや効率の悪さといった問題により、鉄道車両の暖房は次第に電熱線やエアコンへと置き換えられることに。2022年現在、一般的な列車で蒸気暖房を使用する列車はありません。
一方、先述した「SLもおか」のほか、JR東日本高崎車両センターと大井川鐵道の旧型客車では、今でも蒸気暖房が現役。寒い時期限定ですが、どことなく優しさを感じる暖房を体感できます。