鉄道コム

鉄道コらム

電車のマスコン 手前に引くか?奥に倒すか?

2023年2月26日(日) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

鉄道車両の速度を制御するための、クルマのアクセルに相当する装置は「主幹制御器」。「マスターコントローラー」、略して「マスコン」と呼ばれています。一般的な電車では、マスコンとブレーキが別々の「ツーハンドル」、両者が一体の「ワンハンドル」の2つの方式があり、近年はワンハンドルが主流となっています。

加減速を1つのハンドルで操作できる「ワンハンドルマスコン」
加減速を1つのハンドルで操作できる「ワンハンドルマスコン」

ワンハンドルマスコンは、ハンドルを前後に動かす方式となっていますが、日本では奥に倒すとブレーキ、手前に倒すと加速となっています。これは、加速時には慣性によって体が後ろに引っ張られ、減速時には同じく前に倒れるのにあわせたもの。また、万が一運転士が気絶した場合でも、体が倒れる前(奥)方向をブレーキとすることで、異常時に備えたといわれています。

日本で現代の形のワンハンドルマスコンを本格的に採用したのは、1969年デビューの東急8000系。以降、他社の車両もふくめて、ワンハンドルマスコンは全てこの向きに動かす設計となっています。

一方、場所が変われば慣習も変わります。欧米で日本のように前後に動かすワンハンドルマスコンを装備している車両は、奥に倒すと加速、手前に引くとブレーキという、日本とは逆方向の設計。これは、前に倒すと前に進むというように、進行方向と動作を合わせたほか、馬車から路面電車へと進化した歴史を踏まえ、馬の手綱を引くとブレーキという動作に合わせたともいわれています。

ロンドン地下鉄の乗務員室。右奥に見える赤いハンドルがマスコンハンドルです
ロンドン地下鉄の乗務員室。右奥に見える赤いハンドルがマスコンハンドルです

海外ではこのほか、クルマのハンドルのような円形のワンハンドルマスコンや、前後ではなく左右に回す「シネストンコントローラー」といったものも。目的は同じ装備でも、文化や慣習によって面白い違いが生まれています。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

鉄道動画の撮影・編集のコツ

近年のカメラは、動画撮影機能も超充実! 鉄道カメラマンの助川康史さんが、鉄道動画の撮影のコツや編集方法などをご紹介します。

画像

「TX-4000系」導入検討

首都圏新都市鉄道が中期経営計画を発表。8両編成化事業の一環として、「TX-4000系」の導入も?

画像

西武が導入する「中古の新車」

小田急時代とどこが変わった?西武が導入する「サステナ車両」第一陣の8000系が報道公開。他の西武車の情報も。

画像

東急9000系が「赤帯」に

大井町線用の東急9000系9001Fが、デビュー時の正面「赤帯」デザインに。4月12日に運転開始。

画像

【PR】「リセマラ」推奨⁉ のデジタルスタンプラリー

ランダム性が楽しい若桜鉄道のスタンプラリー。豪華な賞品もある企画を体験しました。

画像

4月の鉄道イベント一覧

いよいよ新年度。鉄道旅行や撮影の計画は、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。