2月1日、能勢電鉄が運営してきた、ある「鉄道」の営業終了が発表されました。といっても、「鉄道事業法」という法律に基づく一般的な「鉄道」ではありません。遊具のような路線「シグナス森林鉄道」です。
シグナス森林鉄道は、「妙見の森ふれあい広場」の内部を走るトロッコ列車。15インチ(381ミリ)ゲージの小柄な車両で、見た目は遊園地などの遊具と同じですが、車両などは能勢電鉄の社員が製作したという本格的なもの。路線名は「はくちょう座」から採られ、駅名も「ベガ駅」「アルタイル駅」と、はくちょう座の「デネブ」と共に夏の大三角を構成する星の名前となっています。
この路線の特徴は、途中の急こう配を乗り越えるため、車輪とは別の歯車を第三のレールと組み合わせて走る「ラック式」を採用しているということ。2022年現在、ラック式を使用しているのは、シグナス森林鉄道のほか、大井川鐵道井川線、足尾銅山の観光用トロッコの3か所のみ。井川線以外は法律上の「鉄道」ではありませんが、珍しいシステムを採用した路線の一角として、一部のファンに知られていました。
能勢電鉄によると、シグナス森林鉄道の老朽化による保守が増加し、多額の費用を要することから、今回の営業終了という判断に至ったということです。シグナス森林鉄道は、2021年11月より点検のため運休となり、そのまま12月より冬期運休に突入。復活することなく、観光路線としての役目を終えることとなりました。