鉄道といえば、一般的には2本のレールの上を走るものが想像されます。しかしながら、海外には1本しかレールを使わない路面電車のようなシステムも存在します。ゴムタイヤ式LRTとも呼ばれる「トランスロール」です。
トランスロールは、見た目は一般的な路面電車にそっくりですが、中身は別物。走行・駆動用の車輪は鉄製ではなくゴムタイヤで、進行方向を制御するために1本のレールが使われています。札幌市営地下鉄ではゴムタイヤ式が採用されていますが、トランスロールもこれに近いシステムです。
一般的な路面電車と異なり、ゴムタイヤを採用したトランスロールは、静音性に優れるほか、登坂性能や曲線通過性能は鉄輪式以上となっており、従来型では導入が難しかった空間へもLRTの導入が可能だといいます。一方、既存の鉄道とは互換性が無いため、従来型を採用する事業者との車両の売買はできません。
日本国外においては、トランスロールはフランスやイタリア、中国、コロンビアで採用例があり、一般的な路面電車と同じような乗り物として運行されています。
日本でも、三井物産などが国内導入を目指す動きを見せており、堺市内にデモンストレーション目的の試験線も敷設されました。しかしながら、国内では導入に名乗りを上げる事業者は現れず、試験線はそのまま撤去。海外においても、鉄輪式の路面電車やBRT、ガイドウェイバスなどの方が優勢で、トランスロールは残念ながら主流と呼ばれる位置には至っていないのが現状です。