大きくカーブしている線路を見ると、スプリンクラーで水をまいているシーンを見ることがあります。これは、線路際で植物を育てているため……ではありません。では、なぜ水をまいているのでしょうか。
その目的は、レールのすり減りと、騒音の防止。急なカーブでは、まっすぐ走ろうとする車輪の動きがレールに伝わり、とくに外側のレールに強い力が加わります。こうなると、車輪との摩擦(モノがこすれ合う力)が強く働き、レールがすり減るとともに、ガリガリと大きな音も出ます。これらは油を塗れば防げますが、鉄道の場合、油を踏むことで車輪が滑り、ブレーキがききづらくなるという危険があります。そこで、代わりに水を使い、「レールがすり減ること」、「大きな音が出ること」、「車輪が滑ること」が、なるべくないようにしているのです。
ちなみに、箱根登山鉄道には、水が必要な急カーブが多いのですが、線路にスプリンクラーはありません。ですが、車両に水タンクがあり、カーブを通るときにそこから水をまくようにしています。車両にスプリンクラーの機能を持たせているというわけですね。ひとつのタンクに、360リットルの水が入るのだとか。
ところで、箱根登山鉄道の開業は1919年ですが、最初は線路に水をまく装置はなかったそうです。このため、カーブ外側のレールがすぐにすり減ってしまい、しょっちゅうレールを交換していたという話が残っています。