3月5日に、JR東海の新型車両、315系がいよいよデビューします。ところでこの車両、置き換える211系よりも、乗務員室後ろの窓の面積が小さくなり、前面展望がしづらくなっています。なぜなのでしょうか?
乗務員室後ろの壁は、ただの仕切り壁ではなく、スイッチなどの機器類を設置する場所でもあります。近年の車両では、線路や設備のモニタリング装置、車内Wi-Fiサービス用の機器など、搭載する機器が増加しています。客室内に設置すると定員が減少してしまい、乗務員室の床面積を減らすことも作業効率や安全性などから困難なため、壁面へ機器を配置することに。このため、従来車両では付いていた窓が、新型車両では付いていないケースが増えているのです。
機器の増加による窓の廃止は、国鉄時代の103系でも同様の現象がありました。当初はATC(自動列車制御装置)非搭載で製造されていた103系ですが、山手線や京浜東北線用でのATC導入用に製造された車両では、ATC機器を設置する都合上、3枚あった仕切り壁窓のうち、扉部分を除く2枚が廃止されてしまいました。
一方、後に登場した205系では、ATCを装備した車両でも仕切り壁に窓を設置していましたが、ATC非搭載で製造された車両では、設置機器が少なくなったことにより、仕切り壁の窓面積が拡大されています。
前面展望ができる窓は、決して事業者のいじわるで減っているわけではありません。近年は面積の縮小が目立ちますが、国鉄時代の例を見ると、将来は再び窓が広がる方向へと、時代は繰り返していくのかもしれません。