大きな都市では多くの地下鉄が走り、人々の足となっています。ですが、列車を通すトンネルを掘るには、多くのお金が必要です。少しでも安くすませるには、トンネルの穴をなるべく小さくする必要があります。どのように小さくしているのか、地下鉄電車の屋根と床下を見てみましょう。
まずは、架線から電気をとるパンタグラフ。電車の屋根にある菱形、くの字型などの装置ですが、地下鉄の電車にはついていないことがあります。代わりに、列車が走るレールの横にもう一本レールを敷き(「第三軌条」などと呼ばれます)、そこに電気を流しています。電車の一部の台車には「集電靴(しゅうでんか)」という板があり、これで電気を集めるのです。
そして、車両のエアコン。薄く平たいタイプのものを使い、屋根から大きくはみ出ないようにしているものもあります。ちなみに、昔は車両から出る熱でトンネル内の温度が上がる心配があり、車両ではなくトンネルにエアコンをつけていた時期もあったそうです。
もちろん、すべての地下鉄が第三軌条や薄型のエアコンを使っているわけではなく、普通の電車と同じ、架線から電気をとる方式の地下鉄もあります。ただ、それでも架線は低めに張り、なるべくトンネルが小さくなるよう考えられています。
地下鉄ではこのように、屋根にある装置の場所や形を工夫し、車体を小さめにしているのです。上から見るとスッキリした屋根ですが、これこそが、地下鉄のひとつの特徴といえるでしょう。