列車の一番後ろについている、車両の赤いテールライト。これは「列車標識」と呼ばれるもののひとつで、列車の最後尾を示すものとして使われています。そんなものをつけなくても、どこが列車の最後尾なのかはわかりそうなものですが、これには、事故が起きていないかを確認するための、大切な役割があったのです。
かつて、車両の連結には、鎖(リンク)が使われていました。これが走っている間に外れてしまい、駅間に一部の車両が取り残されることが多かったそうです。そこで、車両がつながっていることを確認するために、車両にテールライトをつけるようになりました。駅員が到着した列車の最後尾にそれが光っているかを見て、連結が外れていないかを判断していたのです。なお、ライトを持たない貨車などが最後尾に連結される場合は、赤い反射板が代わりに使われています。
現在、鎖で車両を連結するようなことはほとんどありません。また、かりに連結が外れたとしても、列車がどこにいるかを教えてくれる信号装置があるため、置き去りになった車両とぶつかる危険も少ないでしょう。ただ、万が一のことが起こる確率もゼロではないので、念のためという意味でも伝統が受け継がれているのです。
なお、路面電車では、赤いライトの一部が点灯、消灯を繰り返していることがあります。これは自動車と同じ「ブレーキライト」で、車両がブレーキをかけている合図として点灯するものです。