鉄道コム

鉄道コらム

美しき土砂崩れのガードマン 線路とアジサイの意外なカンケイ

2022年6月20日(月) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

梅雨の時季を彩る花として有名なアジサイ。箱根登山鉄道では、線路脇に多くのアジサイが植えられており、「アジサイ電車」の名前でも親しまれています。

しかし、このアジサイ、もともと箱根にあったわけではなく、同社の社員さんが植え、育ててきたものだそうです。その目的は、観光客の目を楽しませるため……だけではないのだとか。

箱根登山鉄道の線路脇を彩るアジサイ
箱根登山鉄道の線路脇を彩るアジサイ

アジサイの大きな役割は、「土どめ」。箱根登山鉄道の線路は急勾配や盛り土の上に敷かれていることが多く、雨による土砂崩れの危険性が高まります。そこで、根を横に広く張る性質のアジサイを植え、線路際の土砂流出を、張り巡らされた根でガードするという対策が考えられたのです。現在は乗客を楽しませる役割も持つようになり、シーズン前には社員総出でアジサイの手入れをしているそうです。

ところ変わって、東京都内の京王井の頭線。こちらもアジサイが線路脇を彩っていますが、その目的は同じく土どめ。同線は渋谷駅から吉祥寺駅に向けて上り坂が続いており、線路やその周辺の斜面から土砂が流れることを防ぐため、アジサイが多く植えられたのです。このほか、ツツジやサザンカも見られ、季節別に花を楽しめるようにもなっています。

京王井の頭線の線路脇に咲くアジサイ
京王井の頭線の線路脇に咲くアジサイ

初夏の到来を告げ、車窓を美しく飾るアジサイ。その根には、線路を守るという大切な使命が託されています。咲き誇る花の美しさだけでなく、目に見えぬ力強さも、アジサイの魅力なのかもしれませんね。

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

ラストランは2月10日

「青胴車」5001形は2月10日にラストラン。引退前の「乗車会」開催や、引退記念グッズ発売も。

画像

「T4編成」展示へ

1月で引退の「ドクターイエロー」T4編成、先頭車がリニア・鉄道館で保存へ。6月に展示開始予定。

画像

幻の東京圏「改良計画」とは?

1950年代の国鉄は、東京圏を今と違った形に改良する計画を持っていました。その中身とは?

画像

「サステナ車両」5月デビュー

元小田急の西武8000系が、車両基地を出場。デビューは2024年度末から2025年5月末に変更。

画像

撮影スタイルとレンズ選び

撮影スタイルにあったレンズ選びについて、プロカメラマンが解説! 今回は、標準~望遠・超望遠レンズ編です。

画像

1月の鉄道イベント一覧

2025年も鉄道コムをよろしくお願いします。1月の計画立案には、イベント情報をどうぞ。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。