走っている列車の先頭部分を見ると、薄い黄色や白色のライト(ヘッドライト)が光っているのを、よく目にします。列車の後ろで光る赤いテールライトとともに、これも「列車標識」のひとつです。
自動車でも、暗い場所ではヘッドライトをつけます。その大きな目的は、運転している人が前を見やすくするため。それは鉄道にも当てはまりますが、鉄道ではもうひとつ、さらに大きな役割があります。それは、「周りに列車がいると知らせること」。
線路の上を走る鉄道は、進む道を急にそれることはありません。ですが、列車がいることを知らずに線路に近づけば、事故につながります。そこで、ライトをつけて列車を目立たせ、その存在を周りの人に伝えているのです。
こうなると、暗い時間帯や場所、霧などで周りが見えにくいときだけ点灯すればよさそうですが、最近は多くの鉄道で、明るい昼間でもライトをつけています。これは、列車の存在をより目立たせるため。遠くにいる姿がよく見えなくても、ライトの光が感じられれば、列車がいるとわかります。明るい時間帯でも、ライトを点灯する意義は十分にあるのです。
最近は、ヘッドライトにLED(発光ダイオード)を使うことも増えました。普通の電球よりも少ない電力で明るく照らせ、ライトの寿命は10倍以上と、よいことづくめ。鉄道の安全は、このような細かいところでもしっかり配慮されているのです。