ドアといえば、旅客用の鉄道車両に必須の装備の一つ。試験車両や貨車といった旅客用ではないものを除いて、ほとんどの鉄道車両の側面に乗降用のドアが設けられています。ですが、何事も例外は存在するもの。世の中には、車両の側面にドアを持たない旅客用車両も存在するのです。
その一つが、東武鉄道の200系。特急「りょうもう」に使用される車両で、4号車には側面のドアが一つもありません。このような車両となった理由は、定員確保のためということ。すぐ隣の車両にドアがあるため、実際に乗車する分には何の問題もないのですが、側面ドアが一つもない外観は、旅客用車両ではなかなか見られないデザインです。
旅客用のドアが一つもない車両は、200系の他にも、同じ東武鉄道の100系「スペーシア」3号車や、国鉄485系の食堂車サシ481形なども存在。わたらせ渓谷鐵道わ99形のようなトロッコ車両でも、ドアが無いものがあります。とはいえ、100系などは業務用のドアは設けられており、トロッコ車両もある意味では特殊な改造車両。新造時から側面ドアがなく、かつ2022年現在も現役の車両は、東武鉄道の200系のみです。
余談ですが、「りょうもう」が走る東武スカイツリーラインは、かつては0ドアから6ドアまで、さまざまなドア数の車両が見られました。「りょうもう」の0ドア・1ドア、快速で運用されていた6050型の2ドア、日比谷線直通車両の3ドア・5ドア、東急5000系の6ドア、その他一般車両の4ドア、といった具合。現在は2ドア車(臨時列車の634型を除く)と5ドア車、6ドア車は消滅してしまいましたが、それでも車両形式のバラエティには富んだ路線となっています。